(1) 審判のさいご すべての嘘は暴かれすべての罪は裁かれる 失望したものはまず怒り、怒るのに飽きたら殺そうとする 贖罪のために殺人を辞さない神に、そっくりなあなたがた つぎこそ、イチジクの葉一枚身を
(1) 審判のさいご すべての嘘は暴かれすべての罪は裁かれる 失望したものはまず怒り、怒るのに飽きたら殺そうとする 贖罪のために殺人を辞さない神に、そっくりなあなたがた つぎこそ、イチジクの葉一枚身を隠すすべをなにひとつ残さないで 鮮やかなまでにそれを完遂する 血を流す一瞬だけ あなたはやさしく笑う (2) 箱舟は棺のように揺れる 「かわいいひとは目に入れても大丈夫!」そして失明した 神は失った視力のために憤慨する あなたの独善のために何人が血を流し何人が海のなかで窒息したのでしょうか ビルは海に浮かぶ墓標ぎしぎしと、歪む地盤はある日、あっけなくぽきりと折れる それはあなたがつまらない数字を眼球で舐めるころそれはあなたが愛するだれかと手足をかさねるころそれはあなたがつかれて眠りにつくころ 本当に突然、起こる また海に沈むのだ 人はかならず負ける 我々のゆるやかな水葬 知った人がみな死ぬので、枯れるほど泣いて ほどなく、みな塩の柱になったそしてやはり海に溶けていった (3) 僕の知ってるうちに世界が終わればいい ゆりかごは揺れて自壊した海は塩で満たされて枯れた喉に穴があいて すべての血液が歌いだす あなたはもはや、笑いが止まらなくなる 世界が終わるとき最後の一人は、きっと悪人だと思う (了) -- source link